1. 『時間術大全』の核心:スマホの「デフォルト」を再設定する「メイクタイム」 [1]

thumbnail 『時間術大全』は、GoogleとYouTube出身の著者が、スマホに時間を奪われる現代において、自分の意志や根性ではなくスマホの初期設定(デフォルト)を再設定することで、本当に大切な時間を作り出す「メイクタイム」という新しい時間術を提唱する。

1.1. 現代人が忙しい理由:スマホの「魔力」とテクノロジー企業の戦略 [1]

  1. 情報の多さとスマホ依存 [4]
    1. 私たちが忙しい最大の理由は、情報の多さである。 [4]
    2. スマホは情報の発信・受信を担っており、現代人はスマホなしの生活は考えられないほど依存している。 [5]
  2. テクノロジー企業の収益構造 [13]
    1. テクノロジー企業は収益の大半を広告に依存しているため、スマホ利用者にどれだけ長く使ってもらえるかに関心がある。 [13]
    2. これは「人間からどれだけ時間を奪えるか」が彼らの関心事であることを意味する。 [16]
  3. 著者の背景と本書の目的 [17]
    1. 本書の著者であるジェイク・ナップとジョン・ゼラツキーは、GoogleとYouTubeの出身者である。 [17]
    2. 彼らは、私たちから時間を奪ってきた側の人間として、どうすれば意味のある時間を手に入れられるかを本書で公開している。 [19]

1.2. スマホの「魔力」と「メイクタイム」の概念 [25]

  1. スマホの「デフォルト(初期設定)」の支配 [25]
    1. スマホには強力な「魔力」が宿っており、その魔力は「デフォルト」、つまり初期設定と呼ばれる。 [26]
    2. スマホを手にした瞬間、私たちの時間の9割はデフォルトに支配される。 [29]
    3. ホーム画面のアプリや通知は、人間が一つのことに集中するのを妨害するように設計されている。 [31]
  2. 意志や根性ではスマホに勝てない [34]
    1. スマホの魔力に対して、意志の力や効率化で対抗しようとする戦術は一切通用しない。 [34]
    2. Google出身のジェイクとYouTube出身のジョンも、そのような戦術は無駄だと述べている。 [37]
  3. 「メイクタイム」とはデフォルトを再設定する方法 [38]
    1. スマホの支配から逃れるためには、私たちのデフォルトを「設定し直す」必要があり、その方法を本書では「メイクタイム」と呼ぶ。 [38]
    2. メイクタイムは単なる効率化の本ではなく、スマホの支配から逃れ、自分にとって本当に大事な時間を作り出し、心から歩みたかった人生を歩むための方法である。 [41]

2. メイクタイムの4つのステップ [45]

thumbnail

メイクタイムは、「ハイライト」「レーザー」「チャージ」「チューニング」という4つのシンプルなステップを繰り返すことで、自分にとって本当に大切な時間を作り出す。

2.1. メイクタイムの全体像 [45]

  1. 4つのステップ [47]
    1. メイクタイムは「ハイライト」「レーザー」「チャージ」「チューニング」の4つのステップで構成される。 [47]
    2. これらは一見難しそうに見えるが、実際は非常にシンプルである。 [49]
  2. 各ステップの概要 [52]
    1. ハイライト:毎日、その日の最優先事項を行う時間を確保すること。 [52]
    2. レーザー:レーザー光線のように、ハイライトに集中すること。 [54]
    3. チャージ:集中力は無限ではないため、マラソンのように途中でエネルギーを補給すること。 [57]
    4. チューニング:寝る前にこれまでの3つのステップを振り返り、次に生かすこと。 [59]
  3. 日本語でのシンプルな表現 [62]
    1. これらのステップは、日本語で「優先事項を決めて集中し、途中で補給をして、最後に振り返り調整をする」とシンプルに表現できる。 [63]
    2. 日本語にすると、難しい雰囲気はなくなる。 [65]

3. ステップ1:ハイライト(優先事項を決める) [67]

thumbnail

ハイライトとは、その日の最優先事項を決め、そのための時間を確保することであり、緊急性だけでなく、満足感や喜びを基準に自分の直感を信じて選ぶことが重要である。

3.1. 優先事項を決める3つの基準 [67]

  1. 従来の基準と新しい基準 [68]
    1. 著者は、優先事項を決める際に3つの基準に従うと良いと述べている。 [68]
    2. 従来の「緊急性」に加え、「満足感」と「喜び」という基準を推奨している。 [71]
  2. 「満足感」と「喜び」の重要性 [73]
    1. 「満足感」とは、1日が終わったときに最大の満足が得られることを考えて選ぶこと。 [74]
    2. 「喜び」とは、1日の終わりに喜びの感情が湧くことを考えて選ぶこと。 [80]
    3. これらは「やらなければいけないこと」ではなく、「やりたいと思っていること」や「ずっと前からやりたかったこと」を想像して考えるべきである。 [76]
  3. 生活者としての視点 [86]
    1. 会社では緊急性や重要性で優先順位を決めることが多いが、私たちは労働者であると同時に幸せな人生を歩みたい「一人の生活者」である。 [86]
    2. そのため、1日の優先順位を決める際に、満足感や喜びという基準を混ぜ込むことは大いに推奨される。 [89]
  4. 直感を信じることの重要性 [90]
    1. 3つの基準があると絞りにくい場合があるが、その際は自分の直感に従って基準を選ぶべきである。 [90]
    2. 例えば、「今日は満足感を基準にしよう」や「やはり緊急性にしよう」といったように、その瞬間の直感を信じることが、ハイライトを選ぶ上で最も重要である。 [92]

3.2. ハイライトの確保と死守 [95]

  1. ハイライトに確保する時間 [100]
    1. ハイライトのために確保する時間は、60分から90分が最適である。 [100]
    2. その理由は、人間が極限の集中状態に到達するには60分以上の時間が必要であり、90分以上経つと休憩が必要になるためである。 [102]
  2. ハイライトを決定した後の2つのポイント [106]
    1. 最優先事項を書き出す:メモ帳やノートなど、何でも良いのでまず頭の中にあるハイライトを書き出す。 [108]
    2. 時間を死守する:ハイライトの時間を意地でも守り、自分が一番集中できる時間帯にハイライトを入れたら、他の予定を入れさせないように断固としてブロックする。 [110]
  3. ファーストステップのまとめ [116]
    1. 最優先項目を決め、紙に書き出し、いつやるかを決めたら、他の予定は絶対に入れない。 [116]
    2. これがメイクタイムのファーストステップである。 [120]

4. ステップ2:レーザー(集中する) [121]

thumbnail

レーザーとは、ハイライトに一点集中する状態を指し、スマホが人間の注意力を奪う仕組みを理解し、スマホを意図的に不便にすることで集中力を高める。

4.1. スマホが集中力を奪う仕組み:人間の脳の配線を利用した「ドーパミンハイジャック」 [121]

  1. スマホの集中力阻害のメカニズム [129]
    1. スマホは私たちの意志の力や生産性では抗いきれないほど、注意力や集中力を奪うパワーを持っている。 [129]
    2. 本書では、テクノロジー企業がこれを意図的に行っており、太古の昔からある人間の脳の配線を巧みに利用していると述べている。 [131]
  2. 狩猟採集民の習性とその応用 [133]
    1. 至る所に注意を払う習性 [139]
      1. 狩猟採集民は、危険から身を守るため、常に周囲に注意を払う習性があった。 [139]
      2. スマホやアプリは、この注意が散漫しやすい特徴を利用し、異常なほど通知機能を充実させている。 [143]
    2. 予測できない見返りを喜ぶ習性 [144]
      1. 狩猟採集時代、獲物が獲れない日でも、どこかで思いがけない見返りがあるかもしれないと期待し、見返りを得るたびに喜びを爆発させてきた。 [147]
      2. この習性は人類のDNAに刻まれている。 [155]
      3. テクノロジー企業は、SNSの「いいね」のように予測できない見返りを提供することで、脳の報酬系を刺激し、ドーパミンという快楽物質を分泌させる。 [157]
      4. さらに、見返りが期待される状態でもドーパミンが分泌され、これが「ドーパミンハイジャック」と呼ばれる中毒性を生み出す。 [161]
    3. ゴシップと社会的地位を求める習性 [170]
      1. 人間は人の噂話が好きで、集団の中で何らかの地位を持っていたいという習性がある。 [170]
      2. 古代の人々は、敵から身を守るためにコミュニティを形成し、その中でゴシップや社会的地位を求める術を身につけた。 [173]
      3. SNS上でのゴシップの盛り上がりやフォロワー数を求める行動は、人間の細胞レベルに刻まれた習性である。 [179]

4.2. レーザーモードに入るための7つの戦術 [183]

  1. スマホを意図的に不便にする [183]
    1. レーザーモードに入るための根底にある考え方は、スマホに対してすぐに反応できないようにする、つまり「スマホを意図的に不便にする」ことである。 [183]
  2. 具体的な7つの方法 [187]
    1. SNSやアプリの削除 [188]
      1. Facebook、Instagram、TwitterなどのSNSアプリ、ゲーム、ニュースアプリを削除する。 [188]
      2. 著者は、再インストールできるので、まずは24時間だけでも試すことを推奨している。 [192]
    2. 使い終えたらログアウトする [199]
      1. メール、Twitter、Facebookなどを使い終えたら、確実にログアウトする。 [199]
      2. パスワードを毎回入力する手間が、スマホをいじらなくなるきっかけとなる。 [200]
    3. 通知をオフにする [203]
      1. LINEなどの全アプリの通知をオフにするだけで、精神状態が大きく変わる。 [203]
    4. ホーム画面を空っぽにする [207]
      1. ホーム画面からアプリをなくすことで、スマホへのアクセスを減らす。 [207]
      2. 妥協策として、1画面あたりアプリを1列にする、またはソーシャル系アプリを端の画面に置くなどの工夫も有効である。 [213]
    5. 朝の巡回を止める [218]
      1. 脳が冴えている朝の時間帯に、TwitterやFacebookなどのニュースアプリやメールを巡回するのを止める。 [218]
      2. 仕事後などにまとめて見る、または見る時間帯をずらすだけでも心の穏やかさが変わる。 [221]
    6. ニュースは放置する [222]
      1. ニュースは「今すぐ知るべき」という神話の上に成り立っているが、本当に大事なニュースは自分で調べなくても耳に入るものである。 [222]
      2. 著者は「週1戦術」として、週に一度まとめてニュースを読む方法を推奨している。 [226]
    7. テレビとお別れする [228]
      1. テレビを捨てる勇気がない場合は、テレビをソファーの前ではなく隅っこに配置したり、カバーをかけたりすることで、見る回数を減らすことができる。 [228]
      2. カバーをかける習慣を続けると、カバーを取るのが面倒になり、徐々にテレビを見なくなり、最終的にはテレビの存在自体を忘れることができる。 [235]
  3. デフォルトの魔力を無効にする [239]
    1. これらの方法を試すことで、私たちの時間の9割を支配するデフォルトの魔力を無効にすることができる。 [239]

5. ステップ3:チャージ(エネルギー補給) [241]

thumbnail

チャージとは、集中力を補うためのエネルギー補給であり、狩猟採集民であった古代人の生活からヒントを得て、運動、ウォーキング、プチ断食を取り入れることで心身の健康と集中力を高める。

5.1. 古代人の生活から学ぶエネルギー補給 [241]

  1. 古代人の生活様式 [243]
    1. 著者は、注意力や集中力を高める解決策として、狩猟採集をして生きてきた古代人の生活に注目している。 [243]
    2. ホモサピエンスは、約20万年のうち約20万年近くを狩猟採集のみで生活しており、心と体もそれに適した形に進化してきた。 [247]
    3. 古代人の労働時間は週30時間(1日4時間程度)と推定され、暗くなれば眠り、日の出とともに起きる生活を送っていた。 [250]
  2. 現代人への示唆 [254]
    1. 現代人はテクノロジーの恩恵を受けているが、長い人類の歴史から見ればごく最近の話であり、本質は古代人と何も変わっていないことを理解すべきである。 [254]

5.2. 具体的なチャージ方法 [257]

  1. 毎日運動する [259]
    1. 運動は狩猟採集民の子孫である私たちにとって自然な行為であり、受け止め方ややる気の出し方が変わる。 [259]
    2. 運動を長く続けるポイントは、ガッツリやるよりも「小さく続ける」ことである。 [262]
    3. 「本物の運動とはこうあるべき」という先入観にとらわれず、自分に合った運動を続けることが重要である。 [263]
  2. 歩き回る(ウォーキング) [267]
    1. 人間は直立歩行によって脳が大きくなり賢くなった。 [268]
    2. ウォーキングは、体重減少、心臓病予防、がんリスク低下、血圧低下、骨強化、エンドルフィン分泌促進、気分高揚など、多くの健康効果がある「奇跡の薬」である。 [270]
    3. ウォーキング中に「今日のハイライトは何にしようかな」と考えることで、気分が上がり、健康にも良く、一日を充実させる最高の組み合わせとなる。 [273]
  3. プチ断食 [279]
    1. 古代人は毎日食事ができるわけではなかったが、現代人はいつでも食事ができる恵まれた時代にいる。 [284]
    2. 本書では「断続的な断食(インターミッテントファスティング)」を推奨しており、海外セレブやアスリートも行っている。 [288]
    3. プチ断食のメリット [291]
      1. 健康維持:心臓血管の健康維持、長寿、癌発症リスク低下など、様々な健康メリットが期待される。 [291]
      2. 脳の活性化:脳の働きを活性化させ、優先事項に集中しやすくなることが最大のメリットである。 [293]
    4. 空腹と集中力 [296]
      1. 空腹時にイライラするのは、集中力を高めるための人間本来の反応である。 [296]
      2. 動物は飢餓状態になると、集中力と緊張が走るようにプログラムされており、獲物に集中し、早く食べるように脳から命令が出ている。 [300]
    5. 空腹への新たな意味付け [306]
      1. 空腹を不快なものと認識するのではなく、私たちに備わっている野生の力を解き放つ「トリガー」と捉えることで、断食への抵抗感が減る。 [306]
    6. 具体的な方法 [311]
      1. 朝食を抜く、あるいは間食を抜く程度で良い。 [311]
      2. 最初はお腹が空いて気が散ることもあるが、しばらく続けると慣れてくる。 [315]

6. ステップ4:チューニング(振り返り)とメイクタイムの実践者たち [318]

thumbnail

チューニングは、一日の終わりにその日の過ごし方を振り返り、次の日に活かすステップであり、メイクタイムを実践することで、著者のように本当にやりたいことを見つけ、人生を豊かにすることができる。

6.1. チューニング(振り返り)の重要性 [318]

  1. 一日の過ごし方を振り返る [319]
    1. チューニングは、一日の過ごし方を振り返るステップである。 [319]
    2. 具体的には、ハイライト(優先事項)を予定に入れられたか、レーザー(集中)戦術でどの程度集中できたか、チャージ(エネルギー補給)戦術の結果、今日のエネルギーレベルはどうだったかをメモを取りながら振り返る。 [320]
  2. テンプレートの活用 [322]
    1. 本書には、振り返りに役立つ「メイクタイムメモ」というテンプレートが付属している。 [322]

6.2. メイクタイムの実践者たちの人生の変化 [323]

  1. 誰でも実践できるシンプルな方法 [323]
    1. メイクタイムは、とんでもなくテクニカルで頭の良い人しかできないような方法ではなく、誰でも今すぐできるシンプルな方法ばかりである。 [323]
    2. この本は、私たちの時間を支配しているデフォルトを変えることに重点を置いている。 [327]
  2. 著者の人生の変化 [329]
    1. 著者のジェイク・ナップ(Google出身)とジョン・ゼラツキー(YouTube出身)は、メイクタイムを使って仕事の効率を上げ、良い待遇を受けていた。 [329]
    2. しかし、彼らはその輝かしい道を捨て、メイクタイムによって「自分が本当にやりたいこと」に気づき、それに時間を注ぐようになった。 [331]
    3. ジェイク・ナップは執筆活動にハイライトを当て続け、現在は執筆家・作家として活躍している。 [336]
    4. ジョン・ゼラツキーは趣味のセーリングにハイライトを当て続け、妻と二人で仕事を辞め、セーリングで海を旅している。 [337]
    5. 彼らにとって、有益な報酬よりも、心の底から湧き上がるような内的な動機や衝動が重要になった。 [338]
    6. つまり、彼らはメイクタイムによって、自分が本当に歩むべき人生を見つけることができたのである。 [340]

6.3. 最も重要なこと:直感を信じる [341]

  1. 直感を信じる [341]
    1. メイクタイムで最も思い出してほしいことは、ハイライトを選ぶときに迷わず「自分の直感を信じる」ことである。 [341]
    2. 最高の一日は、今この瞬間から始まる。 [344]