1. 9月FOMCの注目点と市場の金利見通し [0]

thumbnail 9月に開催されるFOMCでは、FRBメンバーによる最新の経済・金利見通しが発表され、特にインフレの高止まりをFRBがどう評価するかが注目されている。

1.1. 9月FOMCの重要性と市場の関心 [2]

  1. FOMCの注目度 [2]
    1. FRBは9月20日から21日にFOMCを開催する予定である [3]。
    2. 3月、6月、9月、12月のFOMCでは、メンバーによる経済・金利見通しが公表されるため、他の月のFOMCよりも注目度が高い [3]。
  2. インフレ高止まりへのFRBの対応 [4]
    1. 8月のCPI(消費者物価指数)はインフレの高止まりを示唆する内容であり、FRBがこれをどう受け止めるかが注目されている [4]。
    2. 8月のジャクソンホール会議でパウエル議長はインフレ抑制を優先する姿勢を示しており、9月FOMCでも金融引き締めを示唆する「タカ派」的な発言が予想される [5]。
    3. これは株式市場にとってマイナスであり、株価が大きく下落するリスクがある [6]。

1.2. FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドットプロット) [11]

  1. 過去の金利見通しの修正 [11]
    1. 6月FOMCでは2022年末の政策金利が3.4%と予想され、3月FOMCの1.9%から大幅に引き上げられた [11]。
    2. 現在、市場参加者は年末までに金利が4.5%まで上昇すると予想しており、9月FOMCで同程度の見通しが発表されれば、FRBは再び金利見通しを大きく引き上げることになる [13]。
  2. ドットプロットの読み方 [14]
    1. ドットプロットは、FOMCメンバー18人が予想する将来の政策金利を点で示したものである [14]。
    2. 例えば、2022年末の政策金利が3.25%から3.5%になると予想するメンバーは8人いる [14]。
    3. 2023年には18人中16人が少なくとも3.5%から3.75%になると予想している [17]。
    4. 2024年には18人中14人が少なくとも1回以上の利下げがあると予想している [18]。
  3. ドットプロットの信頼性 [19]
    1. ドットプロットはFOMCメンバーの政策金利見通しを知る上で重要だが、過去に何度も見通しが引き上げられてきたため、鵜呑みにすべきではない [19]。
    2. FOMCメンバーや市場参加者の予想は当てにならないことが多く、今回の見通しも3ヶ月後の12月FOMCで大きく変わり、将来の金利見通しが5%を超える可能性もある [21]。
    3. その場合、株式市場は大きな打撃を受けることが予想される [22]。

2. 金利上昇が米国株に与える影響と市場の悲観的な見通し [24]

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金利が上昇すると、預金の方が株式投資よりも魅力的になり、株式市場から資金が流出することで株価が下落する可能性がある。

2.1. レイ・ダリオ氏の警鐘と金利上昇による株価下落のメカニズム [24]

  1. レイ・ダリオ氏の悲観的な見通し [24]
    1. 世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者であるレイ・ダリオ氏は、予想を上回る8月CPIを受けて、米経済と米国株に対して警鐘を鳴らした [24]。
    2. ダリオ氏は、インフレ抑制のために大幅な利上げが必要であり、それにより消費者の支出が大きく落ち込むと指摘した [25]。
    3. 政策金利が上がるとクレジットカードのローン利息も上昇し、カード決済が主流のアメリカでは金利負担が重くなり消費が落ち込むためである [27]。
    4. ダリオ氏は、金利が4.5%程度に上昇しただけでも、株価は20%近く下落するだろうと悲観的な見通しを示した [28]。
  2. 金利上昇と株価下落の理由 [29]
    1. 金利が上がると株価が下がるのは、株式に投資するよりも預金をしていた方が儲かるためである [29]。
    2. 政策金利が4.5%になるということは、機関投資家はドル預金をするだけでノーリスクで4.5%のリターンが得られることを意味する [30]。
    3. その一方で、株式市場は企業業績の悪化と景気後退のリスクを受けて暴落する可能性があるため、投資家は株を売り崩すことが予想される [31]。
    4. 将来の政策金利は4.5%を超えて5%に達する可能性もある [32]。

2.2. 市場参加者の利上げ見込みと資金流出のリスク [33]

  1. 市場参加者の利上げ予想 [33]
    1. 市場参加者は、9月FOMCで77%の確率で0.75%の大幅利上げがあると予想している [33]。
    2. 11月FOMCで少なくとも0.75%の利上げがある確率は70.4%である [34]。
    3. 12月FOMCで少なくとも0.5%の利上げがある確率は57.1%であり、それ以降は4.5%の金利水準で維持されると予想されている [35]。
  2. 金利見通しの変化と資金流出 [36]
    1. 年末までに4.5%まで金利が引き上げられる確率は現在57.1%だが、ほんの1ヶ月前までは0%だったため、この金利見通しも大きく変わる可能性がある [36]。
    2. 来年の夏までに政策金利が5%まで引き上がる可能性もある [37]。
    3. その場合、機関投資家は預金をするだけでノーリスクで5%の利息が得られるため、株式市場からさらに資金が抜ける可能性がある [38]。

3. 米国株の大暴落リスク:バリュエーションとテクニカル分析 [39]

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S&P500は、バリュエーションとテクニカルの両面から見て、過去の中央値や移動平均線と比較して大幅な下落余地が残されており、大暴落する可能性がある。

3.1. シラーPER(CAPE)によるバリュエーション分析 [39]

  1. シラーPER(CAPE)の概要 [41]
    1. シラーPER(通称CAPE)は、ノーベル経済学賞受賞者であるロバート・シラー教授が考案した指標で、景気循環の影響を除外したPERである [41]。
    2. PERは、短期間の利益の何倍で株が取引されているかを示す指標である [42]。
    3. 通常のPERは、その年のEPS(1株あたり利益)が景気の影響を受けるため、割安かどうかの判断が難しい場合がある [43]。
    4. シラーPERは、過去10年間のインフレ調整後の平均EPSを用いることで、景気の影響を排除している [45]。
  2. S&P500の割高感 [46]
    1. 1872年以降の過去150年間のシラーPERの水準を見ると、現在のCAPEは29倍であり、過去の中央値である16倍を大きく上回っている [46]。
    2. S&P500はすでに高値から19.6%下落しているが、もしCAPEが過去の中央値まで下落するとすれば、S&P500のターゲットは2137となる [47]。
    3. これは先週末の終値3873から45%の下落、直近の高値からは56%の暴落に相当する [47]。

3.2. テクニカル分析による下落余地 [48]

  1. 200ヶ月移動平均線と過去の事例 [48]
    1. 2000年以降のS&P500の月足チャートを見ると、2109の水準に200ヶ月移動平均線が位置している [48]。
    2. 2008年の金融危機の際には、S&P500はこの200ヶ月移動平均線を大きく割り込んでいたため、再びこの水準まで株価が下がる可能性は十分にある [49]。
    3. つまり、バリュエーションとテクニカルの両面から、将来S&P500が大暴落する可能性がある [50]。
  2. 暴落の時期と底打ちの不確実性 [51]
    1. ただし、2008年の金融危機の時のように、直近の高値から1年半で底打ちするかどうかは不明である [51]。
    2. 今回の抵抗線は35,280に位置する50ヶ月移動平均線をサポートラインとして反発し、2~3年は市場最高値を試す展開になる可能性も考えられる [52]。
    3. その後、2024年以降に景気後退入りとともに200ヶ月移動平均線をターゲットに暴落するシナリオも考えられる [53]。
    4. 暴落の時期や底打ちの時期は不明だが、バリュエーションとテクニカルの両面から、株価が暴落する余地は十分に残されていると言える [54]。

4. 景気先行指標FedExの業績悪化と世界経済の景気後退リスク [55]

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景気先行指標であるFedExの業績悪化は、世界の物流停滞と景気後退リスクの強まりを示唆しており、米国株の先行きは暗いと予想される。

4.1. FedExの業績悪化と株価急落 [55]

  1. FedExの決算発表 [56]
    1. 景気の先行指標となる輸送株が業績悪化への懸念から急落しており、将来の景気後退を予感させる [55]。
    2. 航空貨物輸送で世界最大のFedExが発表した第1四半期決算は、EPS(1株あたり利益)が予想5ドル14セントに対し結果3ドル44セント、売上高が予想236億ドルに対し結果232億ドルと、ともに予想を下回った [56]。
    3. 第2四半期のEPS見通しも、予想5ドル48セントに対し新ガイダンス2ドル75セントと、予想の半分程度に落ち込むことが予想されている [59]。
    4. ラジス・ブラマニアムCEOは、6月から8月期にかけて世界中で荷物量が低迷し、コロナ禍で停止していた中国の工場が再開されても出荷は減少したと明らかにした [60]。
  2. FedEx株価の動向 [61]
    1. 予想を大きく下回る決算発表を受け、FedExの株価はたった1日で23%も暴落した [61]。
    2. 週間チャートを見ると、50日移動平均線がレジスタンス(上値抵抗線)となり、200日移動平均線を大きく割り込んでいる [62]。
    3. 航空貨物輸送で世界最大のシェアを持つFedExの業績低迷は、世界の物流が停滞していることを示唆しており、世界経済がすでに景気後退に向かっている可能性が高い [64]。

4.2. FedEx株価と景気後退の関連性 [65]

  1. 2008年金融危機との比較 [65]
    1. 2008年の金融危機を振り返ると、S&P500が天井をつけた2007年10月の8ヶ月前の2月に、FedExの株価はすでに天井をつけていた [65]。
    2. S&P500が天井をつける頃には、FedExの株価は50日移動平均線がレジスタンスに転換し、200日移動平均線を割り込み、明確な下げトレンドが始まっていた [66]。
  2. 現在の状況と米国株の先行き [68]
    1. FedExの業績と株価急落は、世界経済の景気後退と米国株の暴落を予感させる [68]。
    2. 将来の景気後退リスクが強まっていること、そして株価暴落の余地が残されていることを考えると、米国株の先行き見通しは暗いと言える [70]。

5. 景気後退期における投資戦略とまとめ [71]

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景気後退期にはほとんどのセクターが低迷するが、公益セクターは比較的堅調に推移する可能性があり、個人投資家はパニックに陥らず冷静な対応が求められる。

5.1. 景気後退期に注目されるセクター [71]

  1. 公益セクターの注目 [71]
    1. ほとんど全てのセクターが低迷すると予想される中で、比較的堅調なのが公益セクターである [71]。
    2. バンガード米国公益セクターETF(シンボルVPU)の週足チャートを見ると、50日移動平均線をサポートラインにして上昇トレンドが続いている [72]。
  2. 短期投資の可能性 [74]
    1. 公益株の強気相場が続くようなら、短期投資を前提にCFD(差金決済取引)で大きなリターンを狙うこともできる [74]。

5.2. 9月FOMCのまとめと個人投資家へのアドバイス [75]

  1. 9月FOMCの重要点 [75]
    1. 9月FOMCでは、四半期に一度のドットプロットが発表され、CPIショックをFOMCメンバーがどう受け止めたかが明らかになる [75]。
    2. ただし、メンバーの予想通りに政策金利が動くわけではないため、注意が必要である [77]。
    3. 実際、金利見通しはこれまで何度も引き上げられてきたため、現在の金利見通しも一段と引き上げられる可能性がある [78]。
  2. 米国株の急落リスクと機関投資家の行動 [79]
    1. 市場参加者の予想通り金利が4.5%まで上昇すれば、米国株は一段と急落する可能性がある [79]。
    2. これは、機関投資家がドル預金をするだけでノーリスクで4.5%のリターンが得られるため、リスクの高い株式を買い向かう必要がないためである [80]。
    3. S&P500のシラーPERと月足チャートを見ると、バリュエーションとテクニカルの両面で十分な下落余地が残されている [81]。
    4. また、景気先行指標であるFedExの業績と株価はすでに悪化しており、世界経済の景気後退リスクも強まっている [81]。
    5. これらの状況から、機関投資家が株式市場から資金を引き上げるのは当然のシナリオであり、個人投資家は米国株がさらに下げてもパニックに陥らないようにすることが重要である [82]。