1. FOMCを前にした金利市場の「事実」 [0]

thumbnail 2026年9月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)を前に、アメリカの長期金利は19年ぶりの高水準に達し、原油価格や物価の上昇、FRBの金融引き締め姿勢、そして世界的な金利上昇が確認されている。

1.1. アメリカの長期金利の動向 [17]

  1. 10年国債利回りが5.04%に上昇 [19]
    1. 9月15日、アメリカの10年国債の利回りが一時5.04%まで上昇した。[20]
    2. この水準は2007年以来19年ぶりの高値であり、リーマンショック前の水準に戻ったことを示している。[21]
  2. 金利上昇と借金残高の増加 [25]
    1. この金利はアメリカ政府がお金を借りる際の金利であり、住宅ローンや企業の借入金利の土台となる。[25]
    2. ある大手銀行のレポートによると、アメリカ政府と企業の借金残高は過去最高を記録しており、借金が最も多い時期に金利が19年ぶりの高値となっている。[28]

1.2. 原油価格と物価の状況 [31]

  1. 原油価格の高騰 [31]
    1. 中東での戦争が続き、原油のブルームト価格は1バレル108ドルと100ドルを超えたまま推移している。[32]
    2. この原油高が物価に影響を与えている。[33]
  2. 消費者物価の上昇とFRBの目標 [34]
    1. 9月11日に発表された8月の消費者物価指数は前年比3.4%増で、エネルギーは16%、ガソリンは27%上昇した。[34]
    2. FRBの物価目標は2%だが、FRBが重視するPCE指数は7月時点で3.7%と目標から遠い。[36]
    3. 食品とエネルギーを除いたコアPCE指数は2.4%まで下がっていたが、原油価格の上昇により物価の下落が止まった。[40]

1.3. FRBの金融政策と世界の金利動向 [42]

  1. FRBの金融引き締め姿勢 [42]
    1. 現在の政策金利は3.5%から3.75%に設定されている。[43]
    2. 7月の会議では金利据え置きだったが、投票した12人中3人が利上げを主張する反対票を投じた。[44]
    3. 8月末のジャクソンホール講演でパウエル議長がインフレ抑制への強い意志を示したことで、9月の利上げ確率は講演前の3割から9割超に上昇した。[46]
    4. 市場は利上げをほぼ確実視しており、もし利上げされれば3.75%から4%となり、2023年7月以来3年ぶりの利上げとなる。[52]
  2. 世界的な金利上昇 [57]
    1. 金利上昇はアメリカだけでなく世界中で起きており、ニュージーランドでは9月に入って金利が急騰し、中央銀行が7月と9月に連続で利上げを実施した。[58]
    2. 日本の政府債券も3%を超え、ドル円は155円となっている。[65]
    3. 小さな国は「炭鉱のカナリア」のように、世界の金利水準の変化を先に受ける傾向がある。[67]
    4. これにより、世界中で金利の土台が一段上がっている状況である。[69]
  3. 市場の長期金利見通し [71]
    1. ニュージーランド市場では、2年後から始まる2年間の金利が4.67%と見込まれており、表の右下部分ではすべて5%台となっている。[72]
    2. これは、市場が将来の金利を5%前後と見ていることを意味する。[74]
    3. 市場関係者の間では「5%が新しい4%」という認識が根付いている。[75]

2. 9月FOMCの「見立て」と注目点 [78]

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9月FOMCでは、利上げ自体はほぼ確実視されているが、真の注目点はFRBが示す将来の金利見通し(ドットプロット)と、中立金利のスコアが動くかどうかである。

2.1. FOMCの主要な見どころとドキドキ度 [78]

  1. 利上げそのもの(ドキドキ度1) [82]
    1. 0.25%の利上げはほぼ確実と見られている。[82]
    2. 物価は目標の2%から遠く、7月の会議で3人が利上げに反対票を投じ、パウエル議長もインフレ抑制への強い姿勢を示しているため、利上げしない理由がない。[83]
    3. 市場は9割方利上げを織り込んでいるため、予定通りの利上げはニュースではなく確認に過ぎず、ドキドキ度は低い。[88]
  2. ドットプロット(ドキドキ度4) [92]
    1. FOMC後に出されるFRBメンバーの将来の金利見通し(ドットプロット)が本当の注目点である。[92]
    2. 6月のスコアでは今年の年末で3.8%とされており、今回の利上げで3.9%程度になるため、6月のスコア通りなら今年はこれで利上げは止まることになる。[94]
    3. 来年の年末のスコアは3.6%と、利下げが見込まれていた。[97]
    4. 一方、市場は来年の半ばまでにあと4回(4.5%から4.75%)の利上げを見込んでおり、FRBのスコアと市場の見通しは1%ほどずれている。[99]
    5. 予想では、年末のスコアは4%前後となり、来年も利上げするスコアが増えるが、市場が予想する4回まではいかないと見られている。[103]
    6. スコアが市場の予想より低ければ長期金利は一旦落ち着くが、スコアが市場の予想に近づけば5%の長期金利が定着する可能性がある。[108]

2.2. 最も重要な注目点:中立金利と記者会見 [110]

  1. 中立金利の動向(ドキドキ度5) [110]
    1. 中立金利とは、経済を熱くも冷たくもしない「ちょうど良い金利」のことである。[111]
    2. FRBは6月のドットプロットで、最も長い目で見た中立金利を3.1%と設定しており、現在の政策金利(3.5%から3.75%)はこれより高いため、FRB自身は金融引き締めを行っていると考えている。[112]
    3. この3.1%という中立金利が動くかどうかが注目されている。[115]
    4. AI投資ブームによりデータセンターへの巨額な設備投資が行われ、お金を借りたい人が増えることで、中立金利が上昇する可能性がある。[116]
    5. 予想では、この会議で3.1%が3.25%にわずかに動くと見られているが、その意味は大きい。[120]
    6. 中立金利が上がれば、FRBが引き締めと考えていた金利が「普通」に近づき、利下げの理由が消えるため、「5%が新しい4%」となるかどうかの分水嶺となる。[122]
    7. したがって、今回の会議で最も注目すべき数字は、0.25%の利上げではなく、この中立金利のスコアである。[127]
  2. 記者会見の内容(ドキドキ度3) [128]
    1. 午前3時半からの記者会見では、パウエル議長が「言わないこと」がメッセージとなる。[128]
    2. 市場が最も聞きたいのは「次も利上げするか」だが、議長はこれに直接答えないだろう。[133]
    3. 議長が答えない場合、市場は自ら値段をつけ、それが現在の5%という長期金利に反映されている。[135]
  3. 資産を持つ人への影響 [139]
    1. 長期金利が5%になると、株よりも安全な国債で5%のリターンが得られるようになる。[141]
    2. 株や不動産、AIの設備投資など、あらゆる投資がこの5%という金利と比較されるようになる。[142]
    3. したがって、今回のFOMCの数字は、株を持っている人にとって自身の財産に直結する重要な話である。[143]