1. 粉飾決算で上場廃止になった企業とその手口 [0]

thumbnail 粉飾決算とは、企業が財務状況を偽って報告することであり、これにより上場廃止となる企業が存在する。

1.1. ソルガムジャパンホールディングス:営業キャッシュフローの粉飾 [8]

  1. 事業内容 [11]
    1. 半導体検査ソフトウェア、レストラン・ウェディング事業を展開していた [16]。
    2. 海外で「スーパソルガム」という植物の種を販売し、穀物・食品利用やバイオマス発電への活用を目指していた [19]。
    3. インドネシアでのハラール認証申請と販売合意の適時開示も行っていた [34]。
  2. 虚偽の開示と粉飾決算の発覚 [38]
    1. サイトに公開されたスーパソルガムの画像が合成であることが判明し、その後ハラール認証に関する開示も虚偽であったことが明らかになった [38]。
    2. 9年間で売上27億円に対し赤字30億円を計上しており、半導体事業を売却する事態に陥っていた [48]。
    3. 2018年、監査委員会による強制調査で粉飾決算が発覚した [53]。
    4. ジャスダックの上場廃止基準である「5年連続営業キャッシュフローがマイナス」を回避するため、粉飾を行ったと推測される [63]。
  3. 粉飾の手口:営業キャッシュフローの操作 [67]
    1. 貸倒引当金の不正計上 [77]
      1. 貸倒引当金とは、返済されない可能性のある貸付金に備えて計上する引当金である [86]。
      2. 貸倒引当金を増やすことで、営業キャッシュフローをプラスに計上し、粉飾を行った [92]。
    2. 前受金の不正計上 [95]
      1. 前受金とは、商品がまだ顧客に届いていない段階で受け取ったお金のことである [104]。
      2. 翌年の案件を強引に当期に研修作業を行ったことにし、前受金を計上することで営業キャッシュフローをプラスにしたと推測される [111]。
    3. これらの手口により営業キャッシュフローをプラスに見せかけたが、最終的に発覚し上場廃止となった [118]。

2. グローバルアジアホールディングス:債務超過の隠蔽 [122]

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債務超過を隠蔽するために、架空の資産を計上して財務状況を偽装した。

2.1. 会社の変遷と市場評価 [123]

  1. 歴史と事業の変遷 [128]
    1. 1929年創業の繊維メーカーとして出発したが、その後、資源開発、スーパーマーケット、飲食店、LED照明販売、デジタルメディア事業など多角的な事業展開と撤退を繰り返した [128]。
    2. 社名も頻繁に変更しており、2000年にはIB大和、2015年の上場廃止時にはグローバルアジアホールディングスとなっていた [138]。
  2. 市場からの低い評価とIRの混乱 [125]
    1. 株価は長期間40円前後で推移しており、市場からの評価は低かった [125]。
    2. 2005年には社長交代と社長交代の発表を同日に行うなど、経営の混乱が見られた [142]。
    3. 資源開発事業では、2005年に進出し2012年に撤退するまでに76億4千万円を投入し、最終的に「事業リソースのすべてを失うこととなりました」と発表し話題になった [144]。
    4. 財務諸表を作成できる人材が社内にいないため正しい開示ができない、新株予約権の払い込みが判明するなど、不可解なIR(投資家向け広報)が相次いだ [154]。
    5. 臨時株主総会の中止や、許可なく有価証券を募集したとして財務局から警告を受けるなど、混乱が続き、最終的に上場廃止となった [167]。

2.2. 粉飾の手口:債務超過の隠蔽 [174]

  1. 債務超過とは [175]
    1. 貸借対照表(BS)において、総資産から負債を引いた純資産がマイナスになる状態を指す [181]。
    2. この状態が続くと上場廃止になるルールがあるため、グローバルアジアもこれを回避しようと粉飾を行った [185]。
  2. 粉飾の手口 [187]
    1. 負債を減らす:負債を実際よりも少なく見せることで、純資産をプラスにする [189]。
    2. 総資産を増やす:架空の営業保証金などを計上し、総資産を実際よりも大きく見せることで、純資産をプラスにする [193]。
    3. グローバルアジアは後者の手口で、架空の営業保証金などを積み増し、資産を不自然に増加させて債務超過を回避したように見せかけた [197]。
  3. 粉飾が発覚し、グローバルアジアは上場廃止となり、元経営陣も逮捕された [209]。

3. グレイステクノロジー:架空売上による業績水増し [211]

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架空の売上を計上し、その資金を会長の株売却益で賄うという巧妙なサイクルで粉飾を続けた。

3.1. 会社の成長と粉飾決算の発覚 [213]

  1. 事業内容と高い評価 [215]
    1. マニュアル作成を代行する「マニュアルソリューションカンパニー」として、工場などのマニュアル作成を請け負っていた [215]。
    2. レノボなどの大企業とも連携し、CMも大々的に行うなど知名度も高かった [219]。
    3. 売上高は毎年30%以上増加し、営業利益率も43%と非常に高く、投資家から魅力的な企業として評価されていた [227]。
    4. 上場廃止の1年前まで株価は約4,000円と、市場から高く評価されていた [241]。
  2. 会長の死と業績悪化 [246]
    1. 会長(創業者)の急死をきっかけに株価が暴落した [247]。
    2. 会長がいなくなった途端、成長率が悪化し、株価はさらに下落した [255]。
    3. 粉飾決算は上場直後から行われていたことが後に判明した [258]。
  3. 不正会計の発覚 [262]
    1. 連結決算の提出時に前年の業績を比較できない形で開示するなど、巧妙な手口で粉飾を隠蔽していた [268]。
    2. 2021年11月9日、不正会計が発覚し、上場廃止へと追い込まれた [277]。

3.2. 粉飾の手口:架空売上と資金循環 [278]

  1. 架空売上の計上 [278]
    1. 通常の売上計上プロセス(マニュアル作成の合意→費用をかけて作成→利益)とは異なり、合意がないにもかかわらず売上が計上されていた [280]。
    2. この架空売上の資金源は、主に会長の個人資金であった [289]。
    3. 業績を不自然に見せないため、架空の外注費も計上していた [291]。
    4. 架空売上は年々増加し、2021年には売上の半分が架空のものであった [295]。
  2. 粉飾決算のサイクル [297]
    1. 毎年30%の売上成長と20%の利益率という魅力的な業績を偽装し、投資家からの期待を高めた [300]。
    2. 株価が上昇した期間に、会長および会長の資産運用会社は持ち株比率を50%から10%程度まで大幅に売却した [308]。
    3. この株売却で得た資金が、次の架空売上の原資となっていた [312]。
    4. このように、架空売上→業績上昇→株価上昇→会長の株売却→売却益を架空売上の資金に充てるというサイクルで粉飾を継続していた [315]。
  3. 粉飾を主導していた会長の死により、このサイクルが崩れ、粉飾決算が発覚したと推測される [320]。

4. ナッツ:虚偽の事業発表と現金残高の偽装 [322]

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虚偽の事業発表を繰り返し株価を吊り上げ、最終的には現金残高を偽装していたことが発覚し上場廃止となった。

4.1. 会社の変遷と経営状況 [323]

  1. 事業の多角化と社名変更 [324]
    1. 1977年に繊維製品販売の三鷹産業として設立され、その後レンタルビデオ、ゲーム販売店(トイトルビー)、パチンコ、キャラクター事業へと多角化していった [326]。
    2. 2016年には医療事業を開始し、社名をナッツに変更した [333]。
    3. 業態変更に伴い、社名も頻繁に変更していた [337]。
  2. 低い市場評価と赤字経営 [340]
    1. 株価は長期間100円前後で推移しており、上場廃止前から市場評価は低かった [340]。
    2. 上場廃止前10年間で売上は大幅に減少し、特に末期は売上1億円に対し赤字が10億円と、極めて厳しい経営状況であった [342]。
    3. 決算では、売上1億円に対し海外費1億3,700万円、役員報酬2億円など、不自然に高額な費用が計上されていた [348]。
    4. 従業員6人に対し、一人当たり2,000万円の海外費が使われていた計算になる [356]。
  3. 株の大量発行と株価の不自然な上昇 [361]
    1. 2016年以降、株を大量に発行し、売却することで資金を調達していた [361]。
    2. 株数が増えれば通常株価は下がるが、ナッツの株価は不自然に上昇するタイミングがあった [366]。
    3. これは、決算や事業に関するIRニュースによる株価の釣り上げが原因であった [372]。

4.2. 虚偽のIRと粉飾決算の発覚 [374]

  1. 虚偽の事業発表 [374]
    1. 中国ECサービスとコンテンツ事業 [375]
      1. 中国ECサービスやコンテンツの商標権管理・プロモーション代理事業を開始すると発表したが、1ヶ月後には「当該契約を締結しておりませんでした」と訂正し、虚偽であったことが判明した [376]。
    2. コロンビア大学との医療事業 [383]
      1. コロンビア大学と契約し医療サービスを開始すると発表し、これにより黒字化する業績予想を出した [384]。
      2. しかし、事業場所が不法侵入にあったとしてオープンが延期され、黒字化の予定もなくなった [389]。
      3. 報告書では虚偽の疑いがあるとされ、Twitter上では株主が視察した際に工事が間に合わない状況であったという投稿も見つかっている [391]。
    3. 新型コロナウイルス対応事業 [401]
      1. 2020年1月、新型コロナウイルス対応の事業を開始すると発表し、株価は1日で35%上昇した [402]。
      2. しかし、業務提携先の会社の住所が本社の隣の民家であったことが判明し、新薬開発能力がないことが露呈した [409]。
  2. 現金残高の偽装と上場廃止 [412]
    1. 2020年3月、監査委員会による強制捜査が入り、虚偽の情報開示の疑いが浮上した [412]。
    2. 調査の結果、帳簿上8億円あった現金残高が、実際には50万円しかなかったことが判明した [414]。
    3. その後、監査費用が払えないなどの混乱を経て、2020年9月にナッツは破産手続きを開始し、上場廃止となった [418]。