1. 経営者が知るべき5つの利益と損益計算書の構造 [1]

thumbnail 経営者が経営判断と改善を行うためには、損益計算書に記載される5つの利益の種類とそれぞれの特徴を理解することが重要である。

1.1. 損益計算書における5つの利益の種類 [1]

  1. 利益の種類 [5]
    1. 損益計算書には、売上総利益(粗利益)、営業利益、経常利益、税引前当期利益、当期利益の5種類の利益がある。
    2. これらの利益を知ることで、会社のどの部分が良く、どの部分が悪いかを判断できるようになる。
  2. 銀行と経営者が重視する利益 [0]
    1. 銀行が最も重視するのは営業利益であり、これは本業の利益を評価するためである。
    2. 経営者は経常利益を重視する傾向がある。

1.2. 損益計算書の各利益の計算と特徴 [32]

  1. 売上総利益(粗利益) [32]
    1. 計算方法: 売上高から原価(仕入れなど)を引いた利益である。[32]
    2. 具体例: 売上1億円、原価3,000万円の場合、売上総利益は7,000万円となる。[33]
    3. 特徴: 本業でどれだけ効率的に商品を販売できたかを示す。[51]
  2. 営業利益 [52]
    1. 計算方法: 売上総利益から固定費(人件費、家賃、水道光熱費、消耗品費など)を引いた利益である。[52]
    2. 具体例: 売上総利益7,000万円から固定費5,000万円を引くと、営業利益は2,000万円となる。[50]
    3. 特徴: 会社が本業で稼ぎ出した利益であり、銀行が最も重視する指標である。[73]
  3. 経常利益 [76]
    1. 計算方法: 営業利益に営業外収益(受取利息、雑収入、補助金など)を加え、営業外費用(支払利息、雑損失など)を引いた利益である。[76]
    2. 具体例: 営業利益2,000万円に営業外収益200万円を加え、営業外費用100万円を引くと、経常利益は2,100万円となる。[72]
    3. 特徴: 本業以外の収益や費用を含めた、会社全体の通常の活動から得られる利益である。経営者が重視する指標である。[104]
  4. 税引前当期利益 [111]
    1. 計算方法: 経常利益に特別利益(固定資産売却益など)を加え、特別損失(退職金、決算賞与、固定資産売却損など)を引いた利益である。[111]
    2. 具体例: 経常利益2,100万円に特別利益100万円を加え、特別損失300万円を引くと、税引前当期利益は1,900万円となる。[103]
    3. 特徴: 臨時的に発生した損益を含めた利益であり、会社の本当の実力を反映しない場合がある。[114]
  5. 当期利益 [130]
    1. 計算方法: 税引前当期利益から法人税などの税金を引いた、最終的な利益である。[130]
    2. 具体例: 税引前当期利益1,900万円から法人税627万円(約33%)を引くと、当期利益は1,273万円となる。[129]
    3. 特徴: 最終的な会社の利益であり、黒字か赤字かを判断する基準となる。[137]

2. 利益を改善するための経営判断と目標設定 [134]

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利益の種類を理解した上で、特に重要な利益に注目し、具体的な目標設定と改善策を実行することが経営改善につながる。

2.1. 銀行と経営者が重視する利益と経営判断 [134]

  1. 銀行が重視する利益 [140]
    1. 銀行は、最終的な当期利益の黒字・赤字も見るが、最も重視するのは営業利益である。
    2. 営業利益は本業で稼ぐ力を示すため、いかに営業利益を高めるかが重要である。
    3. 例えば、コロナ禍で営業利益が赤字でも、補助金などで経常利益がプラスになる会社があるが、銀行は依然として営業利益を重視する傾向がある。
  2. 経営者が重視する利益 [144]
    1. 経営者は経常利益を重視し、常に利益をしっかり出すことを意識する。
    2. 経常利益は、営業利益に営業外の収益や費用を加味したものであり、経営者はこの部分をコントロールして法人税を安くしたり、賞与を調整したりすることがある。
    3. 毎月管理すべきは経常利益と営業利益である。
  3. 特別利益・特別損失の扱い [175]
    1. 特別利益や特別損失は、一時的な要因で発生するものであり、会社の本当の実力を反映しないため、あまり気にしなくてもよい。

2.2. 利益目標の設定と改善策 [155]

  1. 売上総利益(粗利益)の目標設定 [160]
    1. 経営者は、社員数に応じて売上総利益の目標を設定することが推奨される。
    2. 目標は「一人当たりの年間売上総利益1,000万円」である。
    3. 具体例: 社員が7人であれば、年間売上総利益7,000万円を目指す。社員が10人であれば、1億円を目指す。
  2. 経常利益の目標設定 [155]
    1. 設定した売上総利益の目標に対して、その10%を経常利益として確保することを目指す。
    2. 具体例: 売上総利益7,000万円の場合、経常利益700万円を目標とする。
    3. この目標を達成するためには、固定費の節約が重要である。何も考えずにいると固定費は膨張しやすいため、意識的に節約思考を持つ必要がある。
  3. 複数店舗の管理方法 [208]
    1. 複数店舗を経営している場合、店舗ごとに売上や利益の計算書を作成し、管理する方法が一般的であり、管理しやすい。
    2. 全店舗を合算して管理する方法もある。